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エリソ・ヴィルサラーゼ 特別インタビュー

今年の11月25日(チケット発売日は近日中に発表予定)にアトリウム弦楽四重奏団とバロックザールで共演予定のピアニスト、エリソ・ヴィルサラーゼ。
トビリシ出身の彼女は、ロシアの名だたる巨匠たちと共演・交流を深め、今やロシアを代表する名ピアニスト兼名ピアノ教師として世界中で活躍しています。
今年の2月に来日したヴィルサラーゼ。忙しいスケジュールの合間を縫ってバロックザールからのインタビューに答えてくれました。バロックザールだけの、特別インタビューです。

 

© Nikolai Puschilin

© Nikolai Puschilin

 

 

――今回のプログラム(※)はどのように決定されましたか。
※アトリウムQと共演予定の11月の演奏会では、モーツァルトのピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478、ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 作品57、 シューベルトの「四重奏断章」 D703、そしてシューマンのピアノ五重奏曲 作品44が予定されている。

エリソ・ヴィルサラーゼ:
そもそも、ピアノ五重奏曲そのものの曲数が少ないんです。フォーレやサン・サーンスは正直あんまり好みではありません(笑)。
モーツァルトの四重奏曲に関しては、私が演奏したくて提案しました。主催者からの提案もあり、いただいたプログラムがとってもよかったので、このようになりました。

 

――わたしもとても素晴らしいプログラムを組まれたと思います。
モーツァルトから始まり、シューベルトも味わえて、みなさんのお得意なショスタコーヴィチとシューマンのピアノ五重奏が聴けるなんて!
ところで、アトリウムQは2013年にショスタコの弦四全曲演奏会を行った(※)、意欲とパワー漲る若きカルテットです。ヴィルサラーゼさんにとって、アトリウムQ
はどのような存在ですか。
※2013年に来日し、朝の11時から夜の22時まで、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15作品を一日で弾き切るという大プロジェクトを実現。当時のクラシック音楽界で超話題となった。

エリソ・ヴィルサラーゼ:
実は彼らとは今回の公演が初共演で、まだ一緒に演奏したことがありません。
でもアトリウムQのCDは聴きましたよ。とっても活き活きしていて音楽に対して真摯で、ある意味ありきたりに弾かないところが好印象で、共演したときの機敏性や柔軟性をとても感じました。
一緒に演奏するのはとても楽しみでワクワクしています。

 

――一方、巨匠スヴャトスラフ・リヒテル (1915-1997) は貴女のことを「世界一のシューマン弾き」と賞賛しました。そのシューマンも11月の演奏会で聴くことが出来るのは、わたしたちにとって至福の喜びです。
ヴィルサラーゼさんからみた、シューマンや彼のピアノ五重奏曲の魅力を教えてください。

エリソ・ヴィルサラーゼ:
シューマンの曲の魅力はピアノにしても、声楽にしても、とにかく多彩なこと。
ピアノ五重奏曲はとても厚みがあって、小さな交響曲とも言えるでしょうね。

この曲はジョージア国立弦楽四重奏団と演奏したのが初めてでした。
この曲は、もう、本当に難しい!というのが初めて演奏したときの印象でした。
その後、ボロディン弦楽四重奏団と何度も弾いていますし、レコーディングもしています。
多くの人に演奏される曲だからこそ、どのようにして、同じように演奏にしないか、新鮮さを常に表現するか、ということがとても大切です。

 

――ソロ活動とアンサンブル活動の間で、どのような相互作用がありますか。

エリソ・ヴィルサラーゼ:
四重奏、五重奏でのピアノはとても大きな役割を担っています。
もちろん、アンサンブルであることは忘れてはいけません。でも、その中で、全体の調和を保ちながら、大きな責任をもって、音楽を進めていかなければならないのがピアノです。
相互作用はもちろんあります。リハーサル中に感じていたものと、本番の舞台で感じるものはまた違ったりもします。
それになによりも、音楽は「生き物」です。
その都度違う音楽が誕生しますが、それは共演者によるところが大きいですね。
そして、色々な方々と共演することで新しい発見が生まれるのです。

 

――ヴィルサラーゼさんとアトリウムQが共演することによって、どのような新しい発見が生まれるのか今から楽しみです!
さて、バロックザールではヴィルサラーゼさん初登場ということで、すでに多くのファンから歓喜の声が続々と寄せられています。そんなファンの方々にひとこと、宜しくお願いします。

エリソ・ヴィルサラーゼ:
私の音楽が好きで、楽しみでお越しいただく方に御礼を言います。ありがとうございます!
みなさんに、満足していただけるように、ちゃんと演奏しなくては…!
私も、京都に行くのを今からとても楽しみにしています。

 

 

ダニール・トリフォノフ ピアノ・リサイタル、無事に終了しました(平成27年10月28日)

みなさんこんにちは!
早いもので、あと数日で11月も終わり、あと1ヶ月強で今年も終わりですね・・・。
トリフォノフのピアノ・リサイタルが終了し、レポートを書かなければと思いつつ早一ヶ月・・・いろいろと、時間が経つのは本当に早いです。
少し遅くなりましたが、トリフォノフ@バロックザールのミニ・レポートをお届け致します。

 

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リハーサル中のトリフォノフ

 

1991年生まれの若手ピアニスト、ダニール・トリフォノフ。その実力は、2010年ショパン国際コンクール第3位、2011年ルービンシュタイン国際コンクール優勝、チャイコフスキー国際コンクール優勝、という華々しい経歴を見ても分かるように、折り紙付きです。
チケットはあっという間に売り切れ、ソールドアウトになったあとも、お問い合わせの電話をたくさん頂いたほどの人気者です。
しかし個人的な見解としては、彼が組んだプログラムにも、大きな人気の秘密があったように思います。

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バッハ=ブラームス:左手のためのシャコンヌ
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 第1巻
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調
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まず、このプログラムの核となる、シューベルトのソナタ第18番とラフマニノフのソナタ第1番。
どちらの曲も規模・時間ともに長大で、一晩でこの2曲が聴けるというのはとても贅沢です。
それに、ラフマニノフのピアノ・ソナタ「第1番」!たいていの演奏家さんは第2番を選択しますが、彼は第1番をあえてプログラミングしました。
当初、このプログラムを拝見した時、第1番が長大かつボリュームのある(どちらかといえば)重めの曲なので「一般のお客さまは興味を持ってくださるだろうか」と思いました。
しかし蓋を開けてみると、「トリフォノフの演奏で第1番が聴けるなんて、貴重な機会だわ」というお声をたくさん頂戴したのです。
ほっと安心したと同時に、トリフォノフの人気ぶりをあらためて知らされました。

さて、本番の演奏ですが、とてもエネルギッシュで瑞々しいものでした。

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技巧的な箇所はもちろん、抒情的なところも丁寧に聴かせるトリフォノフの演奏に、ホール内のボルテージも上がる一方でした。

ところで、彼のピアノ奏法について気になったのは、わたしだけではなかったはずです。

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この写真ではあまり分からないかもしれませんが、見ている限り、肩胛骨のあたりから力を落とし、背中全体で演奏しているように感じました。
ですから、手足はとてもスリムであるにもかかわらず、背中全体がびっくりするくらいにがっしりしており、厚いのです。
恐らくですが、演奏時に背中の筋肉を最大限に使用しているので、上半身がここまでしっかりと鍛えられたのだと思います。

そして、この独特のフォームから生み出される音楽や音色がトリフォノフの個性となって、表出されているように思いました。

この日のトリフォノフは終わりに近付くにつれて調子をどんどん上げていき、お客さまの割れんばかりの拍手に応えるかのように、4曲ものアンコールを弾いてくれました。

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J・シュトラウス作曲 トリフォノフ編曲:喜歌劇『こうもり』より「序曲」
スクリャビン作曲:《2つの左手の為の小品》作品9より第1番「前奏曲」
トリフォノフ作曲:《ソナタ》より第3楽章
メトネル作曲:《ピアノ・ソナタ第10番》より終曲「想い出のうちに」
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次回の青山財団の主催公演は12月12日「アンドレアス・シュタイアー フォルテピアノ・リサイタル」です。
こちらの公演は、トリフォノフの若さ溢れる演奏とはひと味違う、バロック時代や古典時代の傑作を、名手シュタイアー&深みのあるフォルテピアノで聴いて頂こうというもの。
シュタイアーの現在を知ると同時に、古楽界の「現在」をも知って頂く機会になるのではないかと思います。

本公演が今年最後の主催公演となります。ぜひバロックザールまでお越しくださいませ!

 

【公演終了】ハーゲン・クァルテット 

9月27日(日)、無事にハーゲン・クァルテットの公演が終了しました。
プログラムは、モーツァルトのハイドン・セットから第17番「狩」、18番、19番「不協和音」でした。
リハーサルから拝聴しましたが、彼らの「あうんの呼吸」に驚いてしまいました。

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普通は演奏を始める時に「●●小節の○○から」という確認作業が入ると思うのですが、ハーゲン・クァルテットは何となく皆で演奏を始めても、ピタッと合うのです。
4人中3人が家族だからなのか、カルテット歴が長いからなのか・・・(どちらもですね)

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満員のお客さまの中で始まった本番は、リハーサルとはまた異なった緊張感で満ちていましたが、やはり「あうんの呼吸」はそのまま。
素晴らしいアインザッツで、思わず客席からため息がもれるほど。
タイミングだけではなく音楽の作り方に関しても、お互いに信用しきっている様子が伝わってきました。

個人的には、第19番「不協和音」の冒頭部分の、不気味なハーモニーの中に見える、張り詰めた美しさのようなものに強く感動しました。

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今回、演奏の他に気になっていたことがもう1つあります。それは彼らの「楽器」です。

stradivarius_paganini_quartet
(写真:日本音楽財団さまのHPより)

日本音楽財団から貸与されている、ストラディヴァリウスの「パガニーニ・クァルテット」。
写真左から、1680年製ヴァイオリン「パガニーニ」、1727年製ヴァイオリン「パガニーニ」、1731年製ヴィオラ「パガニーニ」、1736年製チェロ「パガニーニ」だそうです。
「ストラディヴァリウス」とは、17世紀後半から18世紀前半にかけてイタリアのクレモナという地方で楽器製作者として活躍した、アントニオ・ストラディヴァリ (1644-1737) が製作した楽器のことです。
みなさんも一度はその名前を耳にされたことがあると思いますが、現在、世界中でおよそ600挺のストラディヴァリによる弦楽器が現存していると言われています。
財団などが所有するストラディヴァリウスを個人の演奏家に貸与したり、もしくは個人が所有していたり、ストラディヴァリウスが使用されているケースはさまざまですが、いずれにしても1台あたり驚くような価格で取引されています。

さて、ハーゲン・クァルテットが使用していた4艇のストラディヴァリウスに話を戻しますが、弦楽四重奏のために常に4艇を揃えて使われてきたそうです。
このようなストラディヴァリウスのクァルテットは世界で6セットしかないのだそう。
「パガニーニ・クァルテット」はその名前の通り、ヴィルトゥオーソ文化を確立したと言われている、19世紀の偉大なヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ (1782-1840) が所有していた楽器として知られています。
1994年にアメリカのコーコラン美術館から、この「パガニーニ・クァルテット」を購入した日本音楽財団は、1995年から2013年まで、東京クァルテットに貸与していました。
――そうなんです!!2013年6月に引退する前、5月18日に東京クァルテットはバロックザールへ引退記念公演をしに来てくれているんです。
その後、「パガニーニ・クァルテット」はハーゲン・クァルテットの手にわたりましたから、これらの楽器たちがバロックザールにやってくるのはこれで2回目だったのですよ。

なんだか、素敵なご縁だと思いませんか?

 

 

「タリス・スコラーズ」公演、終了しました。

6月21日、史上最高・最強のア・カペラ集団、タリス・スコラーズがバロックザールへやってきました!

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現在のメンバーは、コンダクターのピーター・フィリップスを入れて11名。
プログラムは以下のようなものでした。
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ジョン・タヴァナー:ルロイ・キリエ
JohnTaverner (ca. 1490-1545): Leroy Kyrie
ジョン・タヴァナー:西風のミサ曲
John Taverner: Missa Western Wind
グレゴリオ・アレグリ:ミゼレーレ
Gregorio Allegri (1582-1652): Miserere
アルヴォ・ペルト:石膏の壺を持つ女性
Arvo Pärt (1935- ): The Woman with the Alabaster Box
アルヴォ・ペルト:皇帝カエサルへの貢物
Arvo Pärt: Tribute to Caesar
ロバート・パーソンズ:めでたし、マリア
Robert Parsons (ca. 1535-1571/2): Ave Maria
ロバート・パーソンズ:おお、慈悲深きイエス
Robert Parsons: O bone Jesu
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今回のプログラムには、現代作曲家ペルトという新たなレパートリーも加わり、これまでとはちょっと違うタリス・スコラーズの顔を垣間見ることができました。
ちなみに、タリス・スコラーズは今年2月にCD『ティンティナブリ』をリリースしています。オール・ペルトのこのCD、著名なクロスオーバー・アーティストたちと並んで、英国のクラシカル・アーティスト・アルバム・チャートにトップテン入りしています。

Tintinnabuli

 

CDのタイトルになっている「ティンティナブリ」とは、ペルト自身が独自に見つけた作曲技法のことです。簡素な音の組み合わせを、まるで鈴の音が鳴り続けるように一定のリズムで繰り返しています。
現代作曲家でありながらも、西洋音楽の原点、つまりグレゴリオ聖歌や中世の音楽、ルネッサンス音楽やバロック音楽といった古楽に目覚めていったペルト。
美しくも大胆な響きに満ちています。ペルト×タリス・スコラーズの組み合わせは最高です!今回聞き逃した方は一度、CDで聴いてみてくださいね。

 

 

 

 

「スーパー・トリオ」公演、無事に終了しました

ヴァイオリンの神尾真由子さん、チェロのジャン・ワンさん、ピアノのキム・ソヌクさんをお迎えして行われた「スーパー・トリオ」公演、満員のお客さまを前に素晴らしい演奏を披露して頂きました。OLYMPUS DIGITAL CAMERA

プログラムは、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番「大公」とブラームスのピアノ三重奏曲第1番。
3人の情熱がほとばしる、熱い演奏会になりました。お客さまは拍手喝采!

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素晴らしい一夜となりました!ありがとうございました。

 

 

レ・ヴァン・フランセ 京都公演@バロックザール

みなさん、こんにちは!先日、無事にレ・ヴァン・フランセ京都公演を終えることが出来ました。
演奏は言うまでもなく、素晴らしいの一言でした。
6人全員がタイミングを「合わせよう」とするのではなく、自然と「合う」のです。
アンサンブルとは息を合わせるのが難しいもの、と先入観を抱いていたわたしにとって、レ・ヴァン・フランセの演奏は“奇跡”そのものでした!

それでは当日の演奏の模様をプログラム順に写真でご覧下さい。

◆サン=サーンス:デンマークとロシアの歌による奇想曲(1887年)

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◆ルーセル:ディヴェルティスマン 作品6(1906年)

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◆リムスキー=コルサコフ:ピアノと管弦のための五重奏曲 変ロ長調(1876年)

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◆ニールセン:木管五重奏曲 作品43(1922年)

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◆プーランク:六重奏曲

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アンコールを終えて、ブラビッシモ!の声にこたえるレ・ヴァン・フランセのみなさん。

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いかがでしたか?
次回の主催公演は11月30日(日)、期待の女流ヴァイオリニスト、シン・ヒョンス氏がピアニストの佐藤卓史氏と共にバロックザールに登場します。
こちらのチケットはまだ余裕がございますので、どうぞお早めにご購入くださいませ!

 

ラ・プティット・バンド公演

去る6月1日午後3時、ラ・プティット・バンドの公演が開催され、大好評のうち、無事に幕を閉じました。

ラ・プティット・バンド

 

(古楽アンサンブルとしては、少々珍しい楽器の配置ですよね。音楽監督であるシギスヴァルト・クイケン氏のこだわりだそうです)

前日に、所沢にある約2000席のホールで公演をなさったラ・プティット・バンド、本公演のリハーサルでは200席(10分の1の大きさ!)の音響に戸惑う様子も見られ、「天井が高い!」と何度も指差していました。
軽く一通り流したあと、開演までゆったりと過ごしていました。

本番では、管弦楽組曲第1番、ブランデンブルク協奏曲第5番、管弦楽組曲第3番を前半に、後半には管弦楽組曲第2番、第4番という順番でプログラムが進みました。
第一音の美しさには、思わず目を見張ったほど。
管弦楽組曲の第1曲目には、それぞれフランス風序曲が組み込まれているのですが、ホール全体の雰囲気ががらりと変わるような鮮やかさでした。
特に、トランペットの音色が響きにアクセントを加えていましたよ。
余談ですが、写真のトランペット奏者たちのスタイルに注目。皆、片手を腰に当てて吹いているでしょう?
勇ましくもあり、可愛らしくもある、この演奏スタイルにお客さまの話題は集中!
休憩時間や終演後、多くの方が彼らの演奏スタイルについて語っていらっしゃいました。
終演後、奏者のひとり、ジャン=フランソワ・マドゥフ氏にこのスタイルについて尋ねたところ、演奏時の身体バランスを保つために、片手を腰に当てているんですって!

シギスヴァルトがヴィオロンチェロ・ダ・スパッラに楽器を持ち替えた、ブランデンブルク第5番では、バンジャマン・アラール氏の素晴らしいチェンバロ独奏が光りました。
バンジャマンのチェンバロは、デリケートなのですが、絶対にぶれない、一本筋の通った演奏でした。
気品に満ちあふれた音で、観客の心をしっかりと掴みました。

ラ・プティット・バンドの音は、緻密な音楽アプローチの中に、いつもどこか「新しい」響きが聞こえてくるような気がします。
今回もその新しい響きに驚かされたわけですが、それは恐らく、音楽監督であるシギスヴァルトのたゆまぬ探究心によるものではないでしょうか。

メンバーの方々は、日本公演を無事に全て終え、昨日ベルギーに帰国されたそうです。
ちなみに、シギスヴァルトは、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによるJ.S.バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会を、再び日本で開催するそうです。
京都でも7月4日に文化博物館で予定されているそうなので、そちらも要チェックですね!

 

次回の主催公演は、10月17日(金)のレ・ヴァン・フランセです。
http://www.barocksaal.com/concert_schedule/concert20141017.html
チケットの発売日は今月14日(土)です!

ボリス・ベレゾフスキー ピアノ・リサイタル レポート

去る11月23日、青山音楽記念館バロックザールにて、ボリス・ベレゾフスキー ピアノ・リサイタルが開催されました。
当日のプログラムは以下のものでした。

ラフマニノフ: 前奏曲集から
         変ロ短調 op.32-2
         ホ長調 op.32-3
         ホ短調 op.32-4
         ト長調 op.32-5
         イ長調 op.32-9
         ロ長調 op.32-10
         変ニ長調 op.32-13

ラフマニノフ: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op.36

***

ドビュッシー:前奏曲集第1巻より 
           デルフィの舞姫たち
           野を渡る風
           雪の上の足あと
           西風の見たもの
           とだえたセレナード
           亜麻色の髪の乙女
           ミンストレル

ラヴェル: 夜のガスパール

ベレゾフスキー1

 

前半は、ベレゾフスキーの十八番ラフマニノフ。
前奏曲からの抜粋では、ホールと聴衆、そして響きの反応を確かめるように、慎重なタッチで弾き進められていきました。
ベレゾフスキーの大きな手にかかると、スタンウェイのフルコンも小さく見えてしまいますね。

ラフマニノフのソナタ第2番では、前奏曲で見られた慎重さは取り払われ、ベレゾフスキーの世界観が目の前に広がっていくようなスケールの大きさが感じられました。

実は開演前、ベレゾフスキーのエネルギーがホールの容量を超えてしまうのではないかという心配をしていました。
特に、ラフマニノフのソナタ第2番は、大きな音量で弾き切るようなパッセージが多く見られます。その際に、音が割れてしまわないか・・・と懸念していたのです。
しかしながら、いざ始まってみると、ベレゾフスキーの出す音は、ただ単純に大きいだけではなく、ピアノ全体が鳴り響くような、深みのあるものでした。
心配は杞憂に終わったようです!

個人的に、第2楽章は特筆すべき仕上がりだったと思います。
劇的かつ熱情的な第1楽章のあと、ベレゾフスキーの指から紡ぎ出された第2楽章の主題の美しさ。
それはそれは甘く、優美な音だったのです。
古いアルバムをめくりながら、昔に訪れた、思い出の情景写真を眺めているような、不思議な気持ちになりました。

後半は、ベレゾフスキーが演奏を熱望していたという、フランスもの。
前半のラフマニノフから一転、タッチが変わりました。
ラフマニノフの時は、身体全体から鍵盤を押していましたが、ドビュッシー、ラヴェルに関しては、手首で軽く支えながら、指先で演奏しているように見えました。
ドビュッシーとラヴェルにおいても、それぞれにタッチを変えており、ドビュッシーは指先の腹を用いていることが多く、全体に霧のかかったような、パステル調の音色が聞こえてきました。
ラヴェルは、指の先端でカリカリと弾くような鋭いタッチで、ペダルも必要最小限の量しか用いていませんでした。

圧巻だったのは、ラヴェル《夜のガスパール》から〈スカルボ〉。
ラヴェルは、当時「最高にピアニスティックな作品」であるとされていた、バラキレフの《イスラメイ》を技巧的に圧倒することの出来る作品を書くと明言し、その結果作曲されたのが、この〈スカルボ〉でした。
そのラヴェルの意気込みは、この楽曲に見られる、極めて演奏困難な連打音、幅広い音域、連続する重音に十二分に現れていますが、ベレゾフスキーは完璧なまでにそれらを弾き切ったのです。
しかも、こちらにその難しさを決して感じさせることなく、楽々と弾きこなしました。
もう、お見事としか言いようがありません。感嘆のため息があちこちで聞こえてきました。

ベレゾフスキーの演奏に対するイメージは、これまでロシアものが強かったのですが、ドビュッシーやラヴェルの演奏も素晴らしく、今回の演奏会ではベレゾフスキーの新たな一面を垣間見ることが出来ました。

アンコールでは、ドビュッシーの《映像第1集》から〈水に映る影〉、〈動き〉、そしてチャイコフスキーの《四季》から〈10月〉と、立て続けに3曲も演奏してくれました!
これには、お客さまからも「ブラビッシモ!」の声が。

ベレゾフスキー2

なによりも、こんなに演奏家と聴衆との距離が近いのです!
ベレゾフスキーもお客さまの熱狂が伝わったのか、終演後は笑顔でファンサービスに応じてくれました。
そして「このホールで演奏することが出来て、とても気分が良かったよ」という言葉を残してくれました。

 

今年の青山財団主催による公演も、これが見納め。
次回は、年が明けたあと、1月30日のベルリンフィル八重奏団による演奏会です。
こちらのチケットは早くも完売となりましたが、今後もたくさんの演奏会を企画しております。
機会がありましたら、ぜひお越しくださいね!

11月16日チケット販売開始!(エルトマン&メストレ、アーノルド)

ここ最近、厳しい冷え込みが続いていますね。
冬の足音も、もうすぐそこまで近づいてきているような気がします。

 

さて、今日は11月16日にチケット販売が開始される、2つの主催公演のご案内をさせていただきます。

ひとつめは、平成26年4月27日(日・15時開演)に開催される、モイツァ・エルトマンとグザヴィエ・ドゥ・メストレのデュオ・リサイタルです。

エルトマン

 

バロックザールでは久方ぶりの歌手登場とあり、大注目の公演です。
エルトマンは、2012年に東京で初リサイタルを開催以来、クラシックファンの中で「新星歌姫現る」とかなり噂になった歌い手さんです。
音楽評論家の方々もこぞって彼女の歌声を絶賛しており、2014年の来日に今から熱い視線が注がれています。
メストレは、知る人ぞ知る、ハープ界の貴公子。25歳の時に、ウィーン・フィルのソロ・ハーピストに就任後、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界を席巻してきました。

エルトマン&メストレ

写真の通り、2人共に美男・美女です・・・しかし凄いのはそれだけではありません。
この2人、超絶技巧の持ち主であると同時に、非常に豊かな音楽を聴かせてくれるのです(天は二物も三物も与えました・・・)。

今回のコンサート企画は2人の間で数年前から温められていたものらしく、まさに奇跡のデュオ実現!です。
プログラムはシューベルトやR.シュトラウスの歌曲をはじめ、モーツァルトやベッリーニ、ヴェルディのオペラ・アリアなど、多様な方面から彼女たちの魅力を味わえるものとなっています。
もちろん、メストレのハープ独奏もありますよ!このチャンスをお見逃しなく!!

 

続いては平成26年5月10日(土・15時開演)、ピアニスト シュテファン・アーノルドのピアノ・リサイタル《展覧会の絵》

アーノルド 

2004年からウィーン国立音楽大学ピアノ科教授を務める、シュテファン・アーノルド。数々の国際コンクール入賞歴を誇るピアニストとして、ヨーロッパに留まらず世界中でその演奏が絶賛されています。
昨年開催された、東京・大阪でのマスター・クラスでは、その明晰な指導法から見える、洗練されたピアニズムと圧倒的な技巧で、聴衆を大いに魅了しました。
今回は、そんなアーノルドによる、京都(関西)初のピアノ・リサイタルです。

stefan türe

アーノルドのレパートリーは大変広く、その全てにおいて、まるで音の魔術師のような演奏を繰り広げます。

甘いタッチで人々を酔わせたかと思えば、次の瞬間、こちらを圧倒させるかのようなパワフルな音を響かせる――彼のピアノを聴けば、いつも、たちまちそのピアニズムに引き込まれてしまうことに驚かされます。

今回のプログラムの要は《展覧会の絵》。
この楽曲の名演はこれまで数多く生まれてきましたが、ウィーンのピアニズムを正統に引き継いだアーノルドによる《展覧会の絵》も、みなさんの記憶に残り続ける演奏を繰り広げてくれることは間違いありません。

「より沢山のみなさんにピアノ演奏を提供したい」という、音楽教育家でもあるアーノルド自身の希望もあり、今回のチケットは3,000円と破格の値段となっております。
「“コンサート”とは演奏家一人で行うものではありません。逆に、演奏家と皆さんが時間を共有する場であると同時に、演奏家と聴衆とが対話する場なのです」と語るアーノルド、当日はぜひ、貴重で贅沢なひとときを、バロックザールで共有してください!!

ボリス・ベレゾフスキー ピアノリサイタル@バロックザール のお知らせ

みなさんこんにちは!

1990年のチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門の覇者、ボリス・ベレゾフスキーのリサイタルが11月23日、京都のバロックザールで開催されます。
今日でちょうど1ヶ月前になりました。
ベレゾフスキー
今回ベレゾフスキーは日本ツアーとして、

・11月15・16日と東京でラフマニノフピアコン2番
・17日に千葉県
・20日に東京
・23日に京都バロックザール
・24日神奈川県

以上をまわります。

そう、お気づきになられましたか?関西は京都のバロックザールのみなのです!!
貴重なコンサートになること間違いなし、です。

チケットも残りあと僅かとなりました。
この機会にぜひお求めくださいませ。

今日は11月20日の東京公演のために取られたインタビューの動画を少しお借りしてきました。プログラムは京都も同じです。

動画を見ると、冗談好きでとってもチャーミングな男性であることが分かります。
「僕のアンコールを5曲当てた人を東京のロシア料理レストランに招待するよ!一緒にウォッカを飲みましょう!」ですって・笑
ていうか、アンコールを5曲も弾いてくれるんでしょうか?!

・・・ということで、独自に(そして、勝手に)予想してみました:
1.ショパン=ゴドフスキー 黒鍵
2.ショパン=ゴドフスキー 子犬のワルツ
3.ラフマニノフ 前奏曲第1番「鐘」
4.ドビュッシー 練習曲1番 5本の指のための
5.ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ

それっぽいと思いませんか?一曲でも当たると良いのですが。

*余談ですが、フィギュアスケートの浅田真央ちゃん、今季のフリーにラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第1楽章を使用していますが、どうやらその演奏がベレゾフスキーのものらしいのです(インターネット上で検証している人がいて感心してしまいました)
GPシリーズのアメリカ大会で真央ちゃんは優勝しましたが、演技ももちろん、使用されている音楽にも注目してしまいます!