Monthly Archives: 11月 2015

【平成27年度奨学生インタビュー②】東京藝術大学オルガン専攻3年 田宮亮(たみや・りょう)さん

【平成28年3月12日(土)・13日(日)・19日(土)】
「若き音楽家たちによる音の祭典――第3回青山財団奨学生 成果披露演奏会――」開催!

青山財団は、東京藝術大学、東京音楽大学、桐朋学園大学、愛知県立芸術大学、京都市立芸術大学、同志社女子大学、大阪音楽大学、相愛大学、沖縄県立芸術大学の9校から選ばれた学生45名に対して、奨学金を授与しています。彼らは皆、大学で大変優秀な成績を収めている学生たちであり、将来を嘱望される音楽家の卵です。今年は、平成28年3月12日(土)・13日(日)・19日(土)の3日間にわたって、奨学生たちがバロックザール一堂に会し、一年間学んだ成果を披露します。これらの演奏会を記念して、今年も5回にわたり、奨学生のみなさんへインタビューを行います。
二回目は東京藝術大学3年の田宮亮さんです。

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――田宮さんは珍しいプロフィールをお持ちですね。まず京都大学の法学部を出られてから東京藝大のオルガン科へ入学されています。転向なさる時に迷いはありませんでしたか?

田宮さん(以下、敬称略):3年生くらいになると、京大では周囲の学生が就職や大学院進学に向けて準備を始めます。そんな中で、私はどちらにも余り興味を持てず、好きだった音楽にじっくりと時間をかけて向き合ってみたいと思い、東京藝大を受験しました。迷いはありましたが、やりたいと思ったことに対して何の挑戦もしないまま就職や進学をしても後悔が残ると思い、一度だけ、ダメなら諦めるつもりで受験しました。

 

――一度きりの人生ですものね。よく分かります。オルガンのどこに一番魅力を感じたのですか?

田宮:オルガンという楽器が非常に長い歴史を持っているのに応じて、オルガンのために書かれた作品も、中世の写本から21世紀に書かれた作品まで多種多様です。レパートリーの多彩さはオルガンの魅力の一つです。また、オルガンは一台一台、楽器の規模、持っている音色がまったく異なります。ゆく先々で個性的な楽器に出会うのも大きな楽しみです。

 

――そんなにレパートリーが広いと曲選びが大変そうですね。楽器について学ぶだけでも骨が折れそうです。普段はどのような勉強をなさっているのですか?

田宮:楽器の練習が大半を占めますが、オルガンは建造した時代と地域によって大きく異なるので、そうした楽器の様式の勉強や、作品の様式についての勉強もしています。また、音楽はその作品が書かれた地域の言語と密接に関わっているため外国語の勉強も欠かせません。

 

――オルガンとオーケストラは確かに響きや規模が似ているなと思いますが、声楽は思いもしませんでした。「語りかける」ようなところが似ているのでしょうか。とても面白い視点をお持ちの田宮さん、どんなオルガニストになるか楽しみです。

田宮:どんな音楽作品にも、伝えられるべき内容や意味があると思います。作品の内包するそうしたメッセージを演奏によって明らかにし、聴いて下さるお客様と共有することが出来る演奏家になりたいと思っています。

 

――それでは最後になりましたが、来年3月にバロックザールで開催される演奏会への意気込みを教えて下さい。

田宮:京都は京大時代にお世話になった馴染み深い、また懐かしい場所です。今回このような形で、京都での演奏の機会をいただいた事をとてもうれしく、楽しみにしています。(田宮さんは3月13日ご出演)

ダニール・トリフォノフ ピアノ・リサイタル、無事に終了しました(平成27年10月28日)

みなさんこんにちは!
早いもので、あと数日で11月も終わり、あと1ヶ月強で今年も終わりですね・・・。
トリフォノフのピアノ・リサイタルが終了し、レポートを書かなければと思いつつ早一ヶ月・・・いろいろと、時間が経つのは本当に早いです。
少し遅くなりましたが、トリフォノフ@バロックザールのミニ・レポートをお届け致します。

 

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リハーサル中のトリフォノフ

 

1991年生まれの若手ピアニスト、ダニール・トリフォノフ。その実力は、2010年ショパン国際コンクール第3位、2011年ルービンシュタイン国際コンクール優勝、チャイコフスキー国際コンクール優勝、という華々しい経歴を見ても分かるように、折り紙付きです。
チケットはあっという間に売り切れ、ソールドアウトになったあとも、お問い合わせの電話をたくさん頂いたほどの人気者です。
しかし個人的な見解としては、彼が組んだプログラムにも、大きな人気の秘密があったように思います。

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バッハ=ブラームス:左手のためのシャコンヌ
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 第1巻
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調
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まず、このプログラムの核となる、シューベルトのソナタ第18番とラフマニノフのソナタ第1番。
どちらの曲も規模・時間ともに長大で、一晩でこの2曲が聴けるというのはとても贅沢です。
それに、ラフマニノフのピアノ・ソナタ「第1番」!たいていの演奏家さんは第2番を選択しますが、彼は第1番をあえてプログラミングしました。
当初、このプログラムを拝見した時、第1番が長大かつボリュームのある(どちらかといえば)重めの曲なので「一般のお客さまは興味を持ってくださるだろうか」と思いました。
しかし蓋を開けてみると、「トリフォノフの演奏で第1番が聴けるなんて、貴重な機会だわ」というお声をたくさん頂戴したのです。
ほっと安心したと同時に、トリフォノフの人気ぶりをあらためて知らされました。

さて、本番の演奏ですが、とてもエネルギッシュで瑞々しいものでした。

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技巧的な箇所はもちろん、抒情的なところも丁寧に聴かせるトリフォノフの演奏に、ホール内のボルテージも上がる一方でした。

ところで、彼のピアノ奏法について気になったのは、わたしだけではなかったはずです。

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この写真ではあまり分からないかもしれませんが、見ている限り、肩胛骨のあたりから力を落とし、背中全体で演奏しているように感じました。
ですから、手足はとてもスリムであるにもかかわらず、背中全体がびっくりするくらいにがっしりしており、厚いのです。
恐らくですが、演奏時に背中の筋肉を最大限に使用しているので、上半身がここまでしっかりと鍛えられたのだと思います。

そして、この独特のフォームから生み出される音楽や音色がトリフォノフの個性となって、表出されているように思いました。

この日のトリフォノフは終わりに近付くにつれて調子をどんどん上げていき、お客さまの割れんばかりの拍手に応えるかのように、4曲ものアンコールを弾いてくれました。

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J・シュトラウス作曲 トリフォノフ編曲:喜歌劇『こうもり』より「序曲」
スクリャビン作曲:《2つの左手の為の小品》作品9より第1番「前奏曲」
トリフォノフ作曲:《ソナタ》より第3楽章
メトネル作曲:《ピアノ・ソナタ第10番》より終曲「想い出のうちに」
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次回の青山財団の主催公演は12月12日「アンドレアス・シュタイアー フォルテピアノ・リサイタル」です。
こちらの公演は、トリフォノフの若さ溢れる演奏とはひと味違う、バロック時代や古典時代の傑作を、名手シュタイアー&深みのあるフォルテピアノで聴いて頂こうというもの。
シュタイアーの現在を知ると同時に、古楽界の「現在」をも知って頂く機会になるのではないかと思います。

本公演が今年最後の主催公演となります。ぜひバロックザールまでお越しくださいませ!

 

【平成27年度奨学生インタビュー①】東京音楽大学声楽専攻(テノール)4年 吉田一貴(よしだ・かずき)さん

【平成28年3月12日(土)・13日(日)・19日(土)】

「若き音楽家たちによる音の祭典――第3回青山財団奨学生 成果披露演奏会――」開催!

青山財団は、東京藝術大学、東京音楽大学、桐朋学園大学、愛知県立芸術大学、京都市立芸術大学、同志社女子大学、大阪音楽大学、相愛大学、沖縄県立芸術大学の9校から選ばれた学生45名に対して、奨学金を授与しています。彼らは皆、大学で大変優秀な成績を収めている学生たちであり、将来を嘱望される音楽家の卵です。今年は、平成28年3月12日(土)・13日(日)・19日(土)の3日間にわたって、奨学生たちがバロックザール一堂に会し、一年間学んだ成果を披露します。これらの演奏会を記念して、今年も5回にわたり、奨学生のみなさんへインタビューを行います。
一回目は東京音楽大学4年の吉田一貴さんです。

 

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――吉田さんは18歳から声楽を始められたそうで、一般的に見ると少し遅いスタートですね。声楽との出会いについて教えて下さいますか?

吉田さん(以後敬称略):私の音楽との出会いは中学の時からです。私は中学、高校と吹奏楽部に入っていました。中学ではテューバ、高校ではトランペット、ホルンを吹いていました。そして高校2年の時、部の顧問である声楽科出身の先生に「良い声だね、声楽をやってみないか?」と声をかけて頂いてから私の声楽への道は開かれました。

 

――なるほど、息を使うという点で管楽器と声楽は共通点がありますよね。
吉田さんはオペラか歌曲か、どちらのジャンルがお好きですか?

吉田:私はオペラが大好きです。高校時代、音楽の授業で初めて見たオペラ(ドニゼッティの《愛の妙薬》)に心奪われてしまいました。やり直しがきかず、一瞬の「ドラマ」を大事にするところに興味を持ったのです。オペラは総合芸術なので、様々な要素が揃っています。それも魅力のうちでした。ですが、何と言ってもオペラ歌手たちは輝いて見えました。彼らは舞台上で、怒ったり、哀しんだり、楽しんだりしてドラマを作っていきますよね。自分もそのようなことをしてみたいと思ったのです。

 

――音楽家の中でも、特にオペラ歌手は「演じること」が重要ですね。吉田さんはどのように学んでいらっしゃいますか?

吉田:ありがたいことに声楽曲には歌詞が有ります。ですので、歌曲であろうとオペラであろうと、その一つ一つの言葉の意味を調べ深く考え、自分なりの考えを持ち、その役の性格、他の役との関係性などを演出の先生、指揮の先生、声楽の先生方と話し合いながら勉強しています。

 

――お話を伺っているうちに吉田さんの歌を聴くのが楽しみになってきました。それでは、『若き音楽家による音の祭典』への意気込みを教えて下さい。

 

吉田:私は今まで、大好きな歌を楽しくやってくることができました。その途中にはうまくいかない時、挫折の時もあり、大変悩んできました。ですが、悩み抜き苦しんだ事があったにも関わらず、一度も辞めようと思ったことはありません。それは僕を支えてくれている家族や切磋琢磨できる友人、尊敬する先生と色々な方々の存在があるからです。そして何より、私自身が音楽や歌を愛していて、世界に通用するオペラ歌手になるという大きな夢があるからです。ですので、今回の演奏会を通し、演奏する楽しみ、喜びを皆様と分かち合いたいと思っております。(吉田さんは3月13日にご出演)