Monthly Archives: 2月 2017

青山音楽賞受賞者からのエアメイル3 ~ピアニスト 川口晃祐さん&智輝さん~

毎年1月から12月、「青山音楽賞」にエントリーがあった演奏会の中から、「新人賞(25歳以下)のソロ・リサイタル)」、「青山賞(26歳以上のソロ・リサイタル)」そして「バロックザール賞(室内アンサンブル)」が選ばれます。

今年度で27回を迎える青山音楽賞。これまで、国内外で活躍するたくさんの音楽家を顕彰してきました。今日は、2012年度青山音楽賞「バロックザール賞」を受賞し、現在もソロのみならずデュオでも精力的に活動なさっているピアニストの川口晃祐さんと智輝さんからの音楽便りをご紹介します。

 

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2009年にスタートさせた演奏活動も8年目となり、現在は全国各地で年間50以上のステージに立たせていただく日々を過ごしています。多くの演奏の場を踏む中で、自分たちならではのスタイルを追求することの重要性をいつも感じています。

大学卒業後は大学院に進学し、在籍中よりパリに留学。学生時代より、ピアノソロを中心に、室内楽、オーケストラとの共演、さらにピアノデュオにおいては1台6手、2台8手など斬新な作品にも取り組みました。また、留学中にはウクライナにてプーランクの「2台ピアノとオーケストラのための協奏曲」をオーケストラと共演する機会をいただくなど、様々な貴重な経験をさせていただいたのも記憶に新しいです。

ウクライナにて、チェルニーゴフフィルハーモニー交響楽団と「プーランク:2台ピアノのための協奏曲」を演奏。

ウクライナにて、チェルニーゴフフィルハーモニー交響楽団と「プーランク:2台ピアノのための協奏曲」を演奏。

 

現在は、一般的なソロ作品やデュオ作品を演奏するのはもちろんのこと、ピアノ協奏曲やオーケストラのために書かれた作品を2台ピアノで演奏したり、自分たちで作曲・編曲をしたりするなど、様々なアイデアを取り入れながら表現の幅を広げられるよう常に努力しています。また、表現の緻密さを追求するため、ピアノソロ、ピアノデュオを問わず、演奏はすべて暗譜で行うことにしています。

名古屋の宗次ホールにて2台ピアノデュオの演奏

名古屋の宗次ホールにて2台ピアノデュオの演奏

 

本格的なコンサートホールでの演奏のみならず、学校などの教育機関に訪問してのコンサートも数多く行なっており、幼稚園・保育園~高校まで、音楽やピアノの魅力を伝えることも大切にしています。時には音楽を志す子どもたちをステージ迎えて共演する機会を作り、音楽の輪を広げられるよう努めています。

東京都内の幼稚園で、園児と保護者を対象とした演奏会。

東京都内の幼稚園で、園児と保護者を対象とした演奏会。

 

バロックザール賞をいただいたことをきっかけに、ピアノデュオの作品について更に深く取り組みたい気持ちになり、それは現在の活動に大きくつながっています。これまでにCD・DVDを4枚リリースし、2017年には3枚目のCDのリリースが予定されておりますが、次回作は連弾のみを取り上げた1枚です。

彩の国さいたま芸術劇場にて、公開レコーディングを開催。

彩の国さいたま芸術劇場にて、公開レコーディングを開催。

 

今後も演奏を通して、音楽の素晴らしさを多くの人と共有していきたいと思っています。

川口晃祐・川口智輝

青山音楽賞受賞者からのエアメイル2~ピアニスト 萬谷 衣里さん~

毎年1月から12月、「青山音楽賞」にエントリーがあった演奏会の中から、「新人賞(25歳以下)のソロ・リサイタル)」、「青山賞(26歳以上のソロ・リサイタル)」そして「バロックザール賞(室内アンサンブル)」が選ばれます。

今年度で27回を迎える青山音楽賞。これまで、国内外で活躍するたくさんの音楽家を顕彰してきました。今日は、2014年度青山音楽賞「音楽賞(現 青山賞)」を受賞し、現在はドイツのベルリンを拠点に活動していらっしゃるピアニストの萬谷衣里さんによるエアメイルを紹介します。

 

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音楽賞の受賞対象となったリサイタルを行ってから、早くも2年が経とうとしています。演奏会当時は留学先のドイツ・ロストックでの勉強を終え、ベルリンに拠点を移してからちょうど一年が経過したところでした。リサイタルの準備期間もそれまでとは違った環境で、新鮮な気持ちで取り組んでいたように思います。
念願だった音楽賞をいただき、漠然と思い描いていた「ドイツのレーベルで二枚目のCDを制作する」という夢が現実的なものになりました。そして、ご縁があってデトモルトのレコード会社・MDGでの録音・制作が可能になったのです。もともとドメニコ・スカルラッティのソナタかブラームスの後期のピアノ曲を録音したかったのですが、会社の方の薦めもあり、スカルラッティになりました。嬉しいことに同社からは、私の大好きなピアニストのひとりであるクリスティアン・ツァハリアス氏によるスカルラッティのソナタ集も発売されています。

 

萬谷さんCDジャケット写真

萬谷さんCDジャケット写真

 

レコーディングは2016年5月、マリーエンミュンスターという町のコンサートホールで三日間にわたって行われました。トーンマイスターのロディング氏(ドイツレコード賞のエコー賞を録音エンジニアとして初めて受賞された方)の的確なアドバイスとサポートのお陰で、長時間の収録も最後まで集中が途切れず、納得のいくものができました。二人とも持参したサンドウィッチやお菓子を食べる以外は、ほとんど休憩もとらなかったのですが、コーヒーマシーンを起動させて淹れた挽きたてのコーヒーを立ち飲みしながら気分転換をするわずかな時間が、とても心地よく感じられました。

 

トーンマイスター・ロディング氏と調律師のコーリング氏と一緒に

トーンマイスター・ロディング氏と調律師のコーリング氏と一緒に

 

スカルラッティのソナタが19曲入った私のCDは、この文章が掲載されるころには完成している予定です。年末には八幡市と大阪で演奏会がありますが、バロックザールでの研修成果披露演奏会は来年なので、落ち着いて準備していきたいと思います。CDはもちろん、ライブでの演奏を皆様にお聴きいただけることを、今からとても楽しみにしています!

 

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<編集人より>
ちなみに、萬谷さんのCDは彼女のHP(本人の直筆サイン入り)、アマゾンタワーレコードHMVなどで購入可能です!
驚くほど豊かな音色、煌めくようなピアノ・タッチ――いつまでも聴いていたくなる一枚です。

青山音楽賞受賞者からのエアメイル1~ヴァイオリニスト 清永 あやさん~

毎年1月から12月、「青山音楽賞」にエントリーがあった演奏会の中から、「新人賞(25歳以下)のソロ・リサイタル)」、「青山賞(26歳以上のソロ・リサイタル)」そして「バロックザール賞(室内アンサンブル)」が選ばれます。

今年度で27回を迎える青山音楽賞。これまで、国内外で活躍するたくさんの音楽家を顕彰してきました。今日は、2013年度青山音楽賞「新人賞」を受賞し、いまはアメリカの南カリフォルニア大学に留学している清永あやさんからのエアメイルをご紹介します。

 

南カリフォルニア大学のキャンパス

南カリフォルニア大学のキャンパス

 

 

2015年夏より、カリフォルニア州ロサンゼルスにある南カリフォルニア大学(USC)にて、五嶋みどり師のステュディオに在籍しております。みどり師には07年頃に初めて出会い、その頃からUSCは気になっていましたが、青山音楽賞新人賞の賞金・ご援助を頂けたことがきっかけで思い切って渡米することが出来ました。ソロ・室内楽の演奏会、USCでの研修、そして時に旅をしながら学ばせて頂いています。

演奏会は、ソロではロサンゼルスとオレンジカウンティーにてリサイタルと、オーケストラとコンチェルト共演をさせて頂いています。はじめはお客様からの反応がわかりやすいことに驚きました。USCのステユディオ行事の一環では、介護施設や矯正施設などに出向き演奏することがあります。これらの場所では、いかに分かりやすく上手く伝えるかが大切で、簡単な説明を少し添えて演奏します。室内楽では東海岸・西海岸ともにフェスティバルに参加し、米国・欧州・アジア、の各地の奏者達と演奏させて頂きました。どんな演奏形態であっても、音を通じてのコミュニケーションの楽しさは変わりません。

 

ディズニーホール外観

ディズニーホール外観

 

 

USCでは、みどり師の音楽への情熱は計り知れません。常に世界中を駆け巡られ、昨日はドイツ、明後日にはNY、週末にはイタリア、というような生活をされていますが、毎週数日は必ずロスにて過ごされます。朝の7時からレッスンということもあるのですが、私がその時間に到着した頃にはウォームアップや一通りの雑用などまで済まされています。私が日本からロスに到着した昨夏は、空港まで車で迎えに来て下さり、そのままの足で、何もない新しい借家に必要な買物まで手伝って下さいました。一体このエネルギーはどこからくるのだろう、というのは永遠のミステリー?かもしれません。何よりも音楽に対する態度に圧倒されてばかりですが、絶対に諦めず希望に向かう力、強靭な精神からは、多くを学んでいます。

 

五嶋みどり先生のレッスン風景

五嶋みどり先生のレッスン風景

 

 

またロサンゼルスという土地は、年中温暖な気候で、乾燥しており雨も殆ど降りません。カラッとした太陽の元だと気持ちもシンプルになります。また車で十数分も行けば直ぐにビーチという環境です。昨年は2月にもかかわらず30度まで上がった週末があり、この日はリハーサルを早めに切り上げサンタモニカのビーチまで日没を見に行きましたが、ロスだから出来ることでしょうか。そしてハリウッド映画の街なので、日常でもよく映画撮影をしている場面に遭遇します。ただ、車社会には未だに慣れず、電車が網羅されていない点は不便です。私もたまに運転していますが、皆さん運転も荒いのでなかなか大変です。

 

2月のサンタモニカの海

2月のサンタモニカの海

 

こちらの日常・音楽生活で特に感じる新しいことといえば、人々がコミュニケーションを特に大切にし、助け合いに前向きということでしょうか。幸いにも良い友人・知人に恵まれたお陰かもしれません。ですが新天地での生活は、はじめ非常にストレスフルでしたし、生活も音楽も、もちろん日々同感できることばかりではありません。ですがどんな物事に対しても「面白いな」と感じていると、不思議と物事がうまく運び、創造的になるなと感じています。

改めて、青山音楽財団さまからのご支援によって音楽と向き合うことが出来ていることに、心から感謝致しております。今後もしっかり精進して参りたいと思います。