2014年度青山音楽賞 受賞者インタビュー④ 清木ナツキさん(バロックザール賞・フルート)

2014年度青山音楽賞受賞者インタビュー第4回目はバロックザール賞を受賞された清木ナツキさんです。フルーティストだけではなく様々な顔をお持ちの清木さん。
今回のインタビューでは、清木さんのパワフルさをあらためて垣間見ることが出来ました。

 

清木ナツキさん(フルート、バロックザール賞)
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――あらためまして、今回の受賞おめでとうございます。受賞のニュースを受けられた時のお気持ちを教えて頂けますか?

清木:実はお知らせのお電話を頂いた時、実感がわかなかったんです。電話を切った後、しばらくして家族の方が喜んでいて・・・家族が喜んでいる姿を見て『あぁ、受賞出来たんだな』とようやく自分も実感がわいてきました(笑)嬉しいことだなーと、あとでじわじわきました。

――なぜ今回、バロックザール賞に挑戦されようと思ったのですか?

清木:私は2010年に結婚して京都に来たんです。それまでは東京にいて、京都や関西に知り合いがいませんでした。そんなわけで、京都では一から音楽活動をスタートさせなければいけないような状況でした。その後、出産して子育てをしていたんですが、ようやく最近一段落ついたかなと思ったので・・・まぁ、一段落というほどでもないんですけど。

――お子さんはおいくつですか?

清木:2歳と3歳です。保育園も入って、産後のブランクとか自分でも不安だったのですが、せっかく住んでいる京都でリサイタルやってみたいなと思って・・・。やるならここのホールがいいかなと前から思っていたので、こちらのホールでとりあえず日程を取ってしまえば自分でエンジンがかかると思いました。

――そうなんですか・・・清木さんを見ていると「不安」でいらっしゃったなんて想像もつきません。

清木:そうですね~妊婦の時も演奏はしてたんですけど、リサイタルをするというほど挑戦的にはなれなかったんです。だから少し落ち着いたいま、リサイタルをしたいなって思いました。リサイタルをやるのであれば、賞にもエントリーさせていただこうと思いました。せっかくの機会ですから。ただ、コンサート当日は賞のことはほとんど忘れていましたね。

――個人的な質問で申し訳ないのですが・・・2歳と3歳のお子さんがいる中でどのようにしてリサイタル用の曲を準備なさったのですか?相当な量の曲を準備しなければいけないし、かなり大変だったのではないかと思うのです。

清木:そうですね・・・実は思ったほど練習時間が取れませんでした。リサイタル一ヶ月前になって「わぁ、もう1ヶ月しかない!」と焦りました。まぁ、この焦りが逆に良かったのかもしれないですけど。夜、子どもたちを寝かしつけた後に、夜の9時くらいから練習していました。「お願いだから早く寝て!」って思っていました(笑)
お昼間は子どもたちは保育園に入っているので、私の仕事がない時に練習していましたが、その他にも色々とやらなくてはいけないことがあって大変でした。

――そりゃそうでしょう、本当にパワフルですよね。

清木:あとは家族のサポートがあったのが大きかったですね。夫は「リサイタルやったら?」と言ってくれていましたし。そういう言葉をかけてもらえなかったら絶対に出来ていなかったと思います。

089ピアノ伴奏:小林玲子氏

 

――当日はうまく演奏出来ましたか?

清木:自分としてはここのホールはとても演奏しやすかったです。バロックザールって縦に長いじゃないですか。上に音を飛ばそうという感覚で演奏していると、なんだか音楽の神さまが降りてきてくれるというか、そんな気持ちになりました。ピアニストの佐竹裕介さん(受賞対象公演での伴奏者)のサポートも大きかったです。彼にとっては初めて演奏する曲ばかりだったんですけど、たくさん協力していただきました。当日、私にとってもピアニストにとっても集中力を切らしてはいけない曲ばかりだったので、舞台袖で集中力を保ったり切り替えたりするために佐竹さんも「もうちょっと(舞台に出るのを)待っていただいて良いですか」と言っていました。息も切れてましたし、しんどかったです。「集中しましょう、集中しましょう」と二人で言ってました。
最後まで集中力を切らさずに演奏出来ましたので、そういった意味では当初の目標である「集中力を持って演奏する」っていうのは達成出来たかなと思います。

――ご家族の方の感想はどうでしたか?

清木:「良かった」としか言ってなかったですね(笑)いつもそうなんです。「すごく良かったよー」と言ってくれてました。終わったあと、自分では良かったとか悪かったとかそういう感覚よりも、お客さまからの反応がとても良かったので「あ、やって良かったな」という気持ちになれました。終わったことがとても嬉しくて、飛び跳ねて喜んでいました(笑)

――そうでしょうね、とてもよく分かります。
リサイタルのプログラムはどうやって決められたんですか?

清木:《デジタルバード》は初めてやる曲だったんですけど、それ以外の曲はやったことのある曲だったので、バランスを考えて曲選びをしました。自分が得意な曲の中で選びましたが、選曲したあとで「大変な曲を選んでしまったな」と思いました。体力的に大変な曲ばかりなのです。全部メインとなってもおかしくない曲ばかり。知り合いのフルーティストにプログラム見せると「すごいプログラムだね」ってびっくりされました。だけど、自分の得意な曲だって言い聞かせて、やりきることが目標でした。

――それでは最後に、今後の夢を教えていただけますか?

清木:「バロックザール賞」を受賞したことは、自分にとって自信を持つきっかけになりました。今後も演奏活動を続けていく中で、新しい曲やお客さんが楽しめるような意欲的な曲に取り組んでいきたいです。継続的な活動をしていきたいと思っています。

 

(平成27年3月7日、青山音楽記念館・バロックザール)