2014年度青山音楽賞 受賞者インタビュー⑤ デュオ 夢乃 YUMENO(チェロ&箏デュオ、バロックザール賞)

2014年度青山音楽賞受賞者インタビュー第5回目は、ご夫婦でチェロ&箏のデュオを組まれているデュオ 夢乃 YUMENOさんです。
玉木さんと木村さんの音楽観などもお伺いすることが出来、とても楽しいインタビューとなりました。

 

デュオ 夢乃 YUMENOさん(チェロ&箏、バロックザール賞)
084箏:木村伶香能さん  チェロ:玉木光さん

 

――受賞おめでとうございます!普段はアメリカに拠点を置かれているお二人ですが、受賞のニュースを聞かれた時、どうでしたか?

玉木光さん(以下敬称略):ビックリでした。
木村伶香能さん(以下敬称略):アメリカから帰ってくるだけでもう一苦労というか、楽器の移動とかもありますし、無事にコンサートが終わりますようにとばかり思っていましたので、賞にエントリーしたことを・・・実は忘れていました(笑)
玉木:賞はダメモトでした。

――お二人はご夫婦でいらっしゃいますが、いつデュオを組まれたのですか?

玉木:2008年に初めて共演して、2010年ごろから本格的に演奏活動を始めました。

――チェロと箏という組み合わせってなかなか聴いたことがなかったんですけど、実際に聴いてみると意外に合うというか・・・新鮮な響きにも感じられるし、前からあったようにも感じるんですよね。チェロの音が時々尺八っぽい響きになるんです。

玉木:良いところに気付かれましたね(笑)たぶんこの曲を作曲されたマーティン・レーガーさんは尺八のためにもたくさん曲を書いていらっしゃるので、恐らく尺八を意識して書かれたと思うんです。チェロの音と尺八の音との間には通じるものがあるんじゃないかな?

――どのようなきっかけでチェロと尺八で演奏なさろうと思ったのですか?

木村:私がまだ日本にいる時の話ですけど、彼はもうすでにアメリカにずっと住んでいたんですね。彼がオケで仕事をしていた土地で「サクラフェスティバル」というものがありました。2008年4月のことです。私はゲスト奏者としてそのフェスティバルに呼んでいただいたんです。それで「この街には日本人の演奏家が3人います」と言われまして。ヴァイオリン、チェロ、トランペットの方だったんですけど「(共演するなら)どの方が良いですか?」と聞かれまして(笑)
私、昔にヴァイオリンと共演したことがあって、弦の音に馴染みがあったんです。それで「今度はチェロとやってみたいな」と思って・・・

――お二人はご夫婦ですから、もしその時に違う楽器を選んでいたら・・・

玉木:そう、全然違うことになっていたでしょうね(笑)
木村:尺八と箏のために書かれたとても綺麗な曲があって「六連星(むつらぼし)」というんですけど、昴のことです。彼がその曲の尺八パートを演奏して「いいな」と思ったんです。
玉木:「意外な合うな」というのをその時2人とも感じたんですよね。周囲の反応も新鮮という声が多くて、手応えを感じたんです。
木村:音楽的にも人間的にも、周囲が無理矢理私たちをくっつけようとしまして・・・(笑)
いつの間にかこういうことになっちゃいました。

――そうなんですか(笑)
ところで、洋の楽器で和の楽器のパートを演奏なさるとき、模倣から入るのか、チェロの音色を生かして新たなものを作り出すのか、どちらですか?

玉木:最初は模倣から入ります。だんだん弾いていくうちに、本来のチェロの癖が出てくるというか、どうしても模倣だけではなくなってくる気がします。最終的にはチェロの弾き方にはなっていると思うんですけど。

――でも聞いていたら一瞬「あれっ尺八だったっけな」と思うんですよ。

玉木:ありがとうございます。
木村:私たちがやっている曲って、チェロと尺八のために書いていただいたものがけっこう多いので違和感とかはないですね。

081

――当日のプログラムはどのように組まれたのですか?

玉木:まず六連星を弾いて、日本の古典を1曲入れて・・・
木村:古典には唄が入るんです。古典の作品を紹介するという機会が日本でもアメリカでも少ないのですが、言葉というものは大切なものなので、あえて古典ものを入れました。3曲目はさきほど弾いていた、マーティン・リーガーさんが新しく書いてくださった、箏とチェロのための曲です。
玉木:後半は、私たちがずっと委嘱してきた組曲を弾きました。実は今までその組曲を全曲通して演奏したことがなかったんです。演奏会で初めて全曲通して演奏したので、そういった意味で世界初演だったんです。

――記念になるような演奏会だったんですね。

玉木:そうですね。あの公演後、全曲を通して演奏する機会を頂いたんですが、初めて通した時はそういった不安があったんですよね。だから終わった時「全曲通せた」という安堵感が大きかったです。でもやっぱり、全曲通して演奏すると自分たちでも見えていなかった部分が見えるというか「これで良かったのかな」という思いがありましたね。結果的には課題が沢山見つかったので良かったのかもしれませんけど、違和感はありました。

――それでは最後に、今後のお二人の夢を教えていただけますか?

玉木:アメリカで日本の音楽を紹介していくという、いわばミッションのようなものを突き詰めていきたいです。それと同時に、お箏と三味線とチェロのコンビネーションで、どれだけあたらしい音楽を開拓していけるかということを主軸にして活動していきたいです。
木村:うーん、私が言いたいこと、ほとんど言われてしまいました!(笑)

――今年6月にもバロックザールで演奏会(※リンク先に公演情報あり)をしてくださるデュオYUMENO夢乃さん、今後の活動を楽しみにしております!ありがとうございました。

 

 

(平成27年3月7日、青山音楽記念館・バロックザール)