~2013年度青山音楽賞「音楽賞」受賞~打楽器奏者 窪田健志の「現在(いま)」に迫る

2013年度青山音楽賞「音楽賞(現 青山賞)」を受賞された、打楽器奏者の窪田健志さん。あれから3年、研修成果披露演奏会を9月10日(日)に開催します。今回は演奏会に先立ち、受賞直後のお話や現在のお仕事の様子など、色々なお話をお伺いすることが出来ました。

窪田健志

――窪田さん、お久しぶりです!音楽賞を受賞された時にもインタビューをさせて頂きましたが、あれから3年経ちました。受賞後はどのような日々を過ごしていらっしゃいましたか?

窪田さん(以下、敬称略):研修費を頂けると分かった後すぐ、航空券の予約をしました(笑)。

そして、以前から訪れてみたかった、ロイヤルコンセルトヘボウ・オーケストラの本拠地、オランダのアムステルダムを含むヨーロッパ旅行へ一週間ほど向かいました。

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パリやアムステルダムで、オーケストラの演奏会やリハーサルを見学し、レッスンを受けてきました。

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その後も数回渡欧し、年間100回強の所属オーケストラでの演奏も楽しみつつ、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」収録や、宮崎国際音楽祭、東京オペラシティ文化財団主催のリサイタルシリーズ「B→C」(※)に出演させて頂いたりと、充実した日々を過ごさせて頂きました。

 

 

――とっても充実した時間を過ごされたのですね。音楽賞を受賞されて、何か周囲からの反響はありましたか?

窪田:公演に来てくれた知人・友人は勿論ですが、都内に住む音楽仲間から急に「青山音楽賞おめでとう!」と言われて、ビックリしたこともありました。音楽誌などで知った人もいたようです。

 

 

――皆さんに青山音楽賞を知ってもらえて嬉しいです。それは、窪田さんたちのような優秀な音楽家さんたちが受賞して下さったからこそ、なのですが。

ところで、受賞後はどのような目標を持って音楽をされてきましたか?

窪田:受賞できたことは一つの自信を頂いたと同時に、ソロ演奏ならではの不安も持つようになりました。
オーケストラでは奏者それぞれの準備は勿論ですが、大抵の場合は指揮者がいますので、指揮者が音楽の方向性を提示することが多いです。必ずではありませんが。
しかし、ソロで曲と対峙する時は、楽譜の読み方や作曲者の思惑、書かれた背景など、自分で全て探求する必要があります。
文献などを読んで知ることもあれば、作曲者と直接交流があった方にレッスンを受けて納得することもあり、演奏の練習以外にもそういう角度からのアプローチも大事にしたいというのが当面の目標です。

 

 

――今回のリサイタルのプログラムについて教えて下さい。

窪田:現在まで、自主公演はサブタイトルを設けているのですが、今回は「古からのリズム、そしてウタ-Rhythm from ancient and Uta-」としました。

オランダで手締め式の古楽器レプリカのティンパニを購入しました。

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まずはオープニングでその楽器を使い、ルイ13世時代に活躍したフィリドール一家の末子が書いたとされる18世紀のティンパニ・ソロの曲を演奏します。
受賞対象となったリサイタルでもマリンバでバッハの作品(ヴァイオリンの為のパルティータ3番)を演奏したのですが、今回は無伴奏チェロ組曲から4番に初挑戦します。
というのも、3月に東京で「B→C」(※)に出演した際、チェロ組曲の3番に取り組み、とても勉強になったのです。

他に2曲、演奏します。フィッシャーと川島さんの作品です。3月に東京で演奏したのですが、とても評判が良かったです。
フィッシャーは、自身が打楽器奏者で、ミュンヘン国際コンクールの優勝者でもあります。《Worken Studie》は奏者だからこそ書けるような、ギリギリの線をついてきた難易度の高い、マルチパーカッションの曲です。珍しい楽器も数多く登場します。
川島素晴さんの「タンブレラ王。」は、まるで全編アドリブで、パロディをやっているかのように思われる作品ですが、事細かに指示が記載してあります。
ロビーにその楽譜を展示予定ですので、興味のある方はご覧頂ければと思います。
前回は再演作品(既に世の中に存在している作品)のみでしたが、今回は加藤昌則さんに委嘱作品をお願いしてあります。彼はなんと、川島素晴さんと同級生なんですよ!
どんな曲が出来上がってくるのかが非常に楽しみです。
以前はフルートのゲスト(田中玲奈さん)と共演しました。今回はクラリネット奏者を招いて(共に頼れる大学の同期です)山川あをいさんのUTAシリーズから、Ⅵを演奏します。
前回、Ⅳを演奏した時に、バロックザールでのマリンバの響きを作曲者もとても気に入ってくださいました。今回もホールの素晴らしい響きを感じて演奏出来ればと思っています。
他には小太鼓の有名な(ラヴェル作曲ボレロに使われている)フレーズから始まる変奏曲や、ヴィブラフォンを用いたマルチパーカッションの曲まで、今回も舞台に色々な打楽器空間を広げる予定です。

 

 

――名フィルでのお仕事について、教えて下さい。

窪田:今年度、名古屋フィルは創立50周年を迎えます。

それに伴い、今年11月には関西公演(シンフォニーホール)も行います。京都にも縁がある小泉和裕音楽監督のもと、更なる飛躍の為に楽員一同、邁進している最中です。

 

 

――練習はどのようにされていますか?

窪田:名フィルの練習場もあるのですが、別で楽器保管用の倉庫を借りていて、そのどちらかで練習しています。

立地の割に安価の為、夏場は湿気と暑さ、冬場は乾燥と寒さとの戦いです。全て置ける家に住むには、宝くじが当たらないと無理!な気が…。打楽器奏者の宿命でしょうか…。

 

 

――休日はどのように過ごされていますか?趣味などありましたら教えて下さい。

窪田:リサイタルなどが迫っている時には、ここぞとばかり練習しています。オーケストラ業務との両立は、空き時間作りに苦労しますが、練習→リハ→本番のサイクルだけだと精神的に辛い&運動神経が鈍るので、通勤を兼ねてサイクリングや名フィルに入ってから始めたタップダンスで、ストレス発散するように心掛けています。

映画館で映画を観るのは好きなのですが、最近の映画館は音量が大き過ぎて、若干頭痛がするのは僕だけでしょうか…

 

 

――確かに映画館の音は爆音ですね。でもそれは窪田さんの耳が繊細だからかも。
さて、最後にこれからの目標を教えて下さい。

窪田:何かを発信するには、一度、溜める必要があると思っています。漫画ドラゴンボールの「かめはめ波」世代だからでしょうか?

今回のリサイタルは、この三年間で、僕が見聞したり、体験させて頂いたものの一つの証しとして、観て、聴いて頂ければ嬉しいです。

これからも、演奏のみならず、表現者(パフォーマー)としての可能性を広げられるよう、打楽器を通して成長し続けていきたいと思います。