特別インタビュー掲載(6/27公演:ATÉA QUINTET アテア・クインテット~橋本杏奈&フレンズ)
2025.12.25
⾊彩溢れる⾳⾊と驚異的テクニックで10代から国際舞台で活躍する日本人クラリネット奏者の橋本杏奈さんが英国王⽴⾳楽院からの気鋭の仲間と2009年に結成した「アテア・クインテット」がバロックザールに初登場。2015年、カール‧ニールセン国際室内楽コンクールで第3位と現代⾳楽特別賞のダブル受賞の快挙を達成した実力派精鋭集団です。6/27(土)のコンサートに先駆けてお話を伺いました。

アレーナ‧ワレンティン/Alena Walentin(フルート)
フィリップ‧ハワース/Philip Haworth(オーボエ)
アンナ‧ハシモト/Anna Hashimoto(クラリネット)
アシュリー‧マイヤル/Ashley Myall(ファゴット)
クリス‧ビーグルス/Chris Beagles(ホルン)
Q1.「アテア・クインテット」結成のきっかけを教えてください。
アンナ(Cl):クラシック音楽の世界は狭いので、私たちは一緒に勉強したり仕事したりと、いろんな場所で繋がっていました。2009年の結成からはずっと一緒です!
アシュリー(Fg):アンナと初めて会ったのは英国王⽴⾳楽院付属学校の頃で、修士の時に大学の廊下で偶然再会したのが結成のきっかけです。すぐに木管三重奏団を結成して、それが木管五重奏団へと発展しコンクールのためにジョリヴェの「木管五重奏のためのセレナード」を録音しました。
クリス(Hn):メンバーのほとんどは大学で出会い、それぞれが室内楽への強い情熱を持っていたことが結成に繋がりました。
アレーナ(Fl):一緒に演奏し始めたとたん、音楽的にも個人的にもすぐに意気投合しました!
フィリップ(Ob): みんな室内楽が大好きで、できるだけ多く友人と一緒に演奏したいと思ったからです。
Q2.皆さんソリストとして、またイギリスの主要オーケストラでも大活躍されていますが、木管五重奏の活動はどのような魅力がありますか?
クリス(Hn):音楽の質の高さを追求し、友人たちと最高の音楽を創り上げることができるのが魅力です。
フィリップ(Ob):木管五重奏が大好きなんです(論文も書きました!)。木管五重奏が生み出す音色は多彩で計り知れず、調和を生み出すまでには課題も多いですが、それもまた楽しみの一つです!
アシュリー(Fg):この編成の楽器はどれも個性的で一見制約があるように見えますが、そこに豊かな色彩を感じます。互いを支え合い、ダイナミックでエキサイティングなサウンドが生まれるのです。
アレーナ(Fl):木管五重奏の作品は多くはないですが、素晴らしい音楽の宝庫なんです。お客さまと共有できることをいつも楽しみにしています。
アンナ(Cl):木管五重奏の演奏から学んだことは、オーケストラにも応用できることがたくさんあります。アテアの仲間と演奏をした後は、絆が深まり調和がとれているといつも感じています。
Q3.木管五重奏を初めて聴かれる方もいらっしゃると思います。楽しみ方のアドバイスをお願いします。
私たちが言葉を使わずにどのようにコミュニケーションをとっているかに注目してください。そして、目を閉じて音楽からどんな想像が生まれるかを感じてみてください。音楽は言葉のない物語のようなもので、誰もが頭の中で物語を作り上げることができます。「歌う」ことと「息を使って音を出す」ことは同じで、だからこそ楽器にはそれぞれ美しい声質があると思います。言葉に深い意味が込められているように、それぞれの楽器が語りかけてくるような感覚を楽しんでいただければと思います。
Q4.今回のプログラムの聴きどころを教えてください。
今回はスタイルも時代も違うバラエティーに富んだプログラムです。5つの楽器が「ジャズバンド」「合唱団」「オルガン」などに変化していく様子を楽しんでください。ライヒャの作品では、イングリッシュホルンの美しくまろやかな響きに耳を傾けてください。そして私たちのお気に入りはコールマンの「ツィガーヌ」です。アップビートな曲調で、東ヨーロッパ各地の楽しいメロディーがたくさん出てきます!

Q5.前回の来日(2017年)で、印象に残ったことや楽しいエピソードがあればお聞かせください。
アンナ(Cl):イギリスの友達を日本の演奏会に招待するのは少し緊張しましたが、飛行機が着いてみんなの顔をみてほっとしました。トンカツやたこ焼きなど、美味しい食べ物をみんなに紹介できたのも嬉しかったです。
アシュリー(Fg):初めての来日でしたが、美味しい食べ物、活気に満ちたエネルギッシュな東京の街、演奏した素晴らしいホールなど、見るもの、経験するもののすべてにワクワクしました。友人と居酒屋で焼き鳥とビールを楽しんだこと、温泉に入ったことは今でも鮮明に覚えています。温泉からの帰り道に「クラゲになったみたい!」と友人と笑いあいました。
クリス(Hn):来日ツアーの後、熊野古道のコースを走りました。アンナは私が熊に囲まれながら一人で走ると思って心配していました(笑)
アレーナ(Fl):私たち全員が時差ボケに悩まされながら、毎日何とかやりくりしていました。クリスが舞台裏でシャツを着たままアイロンをかけていたのはいい思い出です。
フィリップ(Ob):学校訪問で学生の皆さんに楽器や音楽を紹介できたこと、NHKで演奏できたことは大きな喜びでした。伝統ある旅館で初めて畳の上で寝たことも素晴らしい体験でした!
Q6.アテア・クインテットの今後の展望についてお聞かせください。
私たちはロイヤル・バーミンガム音楽院のレジデント・アンサンブルとして長年室内楽を指導しているのですが、とても充実しています。この夏はイギリス各地の音楽祭で演奏やマスタークラスをする予定があり大変楽しみにしています。演奏活動や教育を通して多くの人と繋がり、室内楽の素晴らしさを分かち合いたいです。
Q7.お客さまへのメッセージをお願いします。
今回、このプログラムをバロックザールで演奏できることをとても嬉しく思っています。初めて木管五重奏のコンサートに来て下さる方にも“刺激的”な木管五重奏の世界への扉を開くきっかけになれば幸いです。ゆったりとくつろぎコンサートを楽しんでください。終演後はお気軽にお声がけください!
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2026年6月27日(土)17:00開演
「ATÉA QUINTET アテア・クインテット~橋本杏奈&フレンズ」公演情報・チケット購入情報はこちら
木管五重奏の魅力をたっぷり詰め込んだプログラムです。名手たちの妙技にご期待ください!





