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2022年度 第32回青山音楽賞受賞者が決定いたしました。

2023.01.27

2022年度 第32回青山音楽賞受賞者は下記の通りです。





新人賞(2名)


山根 風仁(ヒストリカル・チェロ)


受賞公演:「山根風仁 J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 全曲 京都公演」 2022年07月21日(木)開催
【評価】高度な技巧と音楽性を併せ持つチェリストの、古楽器による意欲的なプログラム。一音一音の意味合いを的確に悟り、豊かな表現世界を見事に築いていた。

山根 風仁(チェロ) 1996年高知県生まれ。若い世代で数少ないピリオド楽器奏者として、日本・欧州の双方で活躍の幅を広げる。そのレパートリーはバロックから近現代に及び、現在は特に19世紀ロマン派音楽の奏法研究に取り組む。
オーケストラ・リベラ・クラシカ、コントラポント等、日本を代表するヒストリカルアンサンブルのメンバーとして数々の公演、録音に参加。2019年には自身の演奏団体『Lynx Consort』を立ち上げ、第一線で活躍する奏者とともに、室内楽からオーケストラに至るコンサートシリーズを展開している。2021年、ウィグモアホール(ロンドン)で開催されたCAVATINA室内楽コンクールにて優勝を飾り、スコットランド室内楽財団の2022年度注目アーティストに抜擢されるなど、室内楽奏者としての信頼も厚い。
NHK-FM『古楽の楽しみ』、テレビ朝日『題名のない音楽会』、英BBC『Classics Unwrapped』など、国内外のメディアに出演。
東京藝術大学音楽学部器楽科チェロ専攻を安宅賞、アカンサス音楽賞を得て卒業後、渡英。英国王立スコットランド音楽院修士課程HIPP(歴史的演奏習慣)科を修了。
現在、文化庁新進芸術家海外研修制度により、ベルギーのブリュッセル王立音楽院にて研鑽を積む。
これまでにチェロを上塚幸代、上塚憲一、河野文昭、鈴木秀美、David Watkin、Alain Gervreauの各氏に師事。
平成28、29年度(公財)青山音楽財団奨学生。

若尾 圭良(ヴァイオリン)


若尾圭良 ヴァイオリンリサイタル
~メニューイン国際コンクール優勝記念 前芸術監督ゴードン・バック氏を迎えて~ 2022年12月2日(金)開催

【評価】ずば抜けた集中力、観客を魅了する技巧、目を見張るような瑞々しくのびやかな音楽性。全てにおいてスケールの大きいソリストとしての資質を感じさせた。
若尾 圭良(ヴァイオリン)

2006年、ボストン生まれ。2021年ユーディ・メニューイン国際ヴァイオリンコンクールジュニア部門優勝、併せて委嘱作品の優れた演奏に対し、作曲家賞を受賞。2021年スタルバーグ国際弦楽器コンクール優勝、併せてバッハ賞受賞。
3歳よりヴァイオリンを始め、6歳より元ボストン響コンサートマスター、 故ジョセフ・シルバースタイン氏に師事する。現在、マサチューセッツ州ウォールナットヒル芸術高校2年生。ニューイングランド音楽院プレップスクールにてドナルド・ワイラーシュタイン、スーヴィン・キムの各教授に、日本では竹澤恭子氏に師事し、研鑽を積んでいる。
9歳でオーケストラと協奏曲を初共演。これまでにユージーン響、レディング響、カラマズー響、チャタヌーガ響、リサウンドコレクティブ、アデルフィー、ニューイングランドフィル、ボストンシヴィック、ウォルサム、ニューフィル、岐阜大垣室内管などと共演。
ニューヨーク・カーネギー(ヴェイル)ホール、ボストン・ジョーダンホール、ロンドン・カドガンホール、シンガポール・ヴィクトリアコンサートホール、北九州・響ホールなど著名なコンサートホールでも公演を果たす。
2017年、11歳でTEDx ボストンにて、スピーチと演奏を披露。12歳の夏より毎年、NY州イツァーク・パールマン音楽プログラムに参加し、ジュリアード音楽院、名教授陣の指導を受ける。2020年14歳で、ボストン・リディーマー教会と東京・代官山ヒルサイドプラザホールの2箇所で初リサイタルを催し、好評を博した。
2023年は、ボルティモア室内管(メリーランド州)、レキシントン響(マサチューセッツ州)でのデビュー、ボストン・シヴィック響との再演など全米各地でオーケストラとの協奏曲共演が続き、ニューヨークやロンドンなど各地でのリサイタル、ヨーロッパでの音楽祭参加も決定している。
使用楽器は1745年製G.B. ガダニーニ(フローリアン・レオンハルト・フェローシップより貸与)。
公式サイト https://www.keilawakao.com/


青山賞(2名)


酒井 健治(作曲)


受賞公演:「酒井健治 個展2022 – Kenji Sakai meets club MoCo」2022年11月12日(土)開催
【評価】奏者と楽器の特性や可能性を最大限に引き出す力が備わっていることは言うまでもない。作曲家が未来に向けて成し遂げたことの豊かさを想う。

酒井 健治(作曲)

大阪生まれ。
京都市立芸術大学にて学んだ後渡仏。フランス国立パリ高等音楽院作曲科、ジュネーヴ音楽院作曲科を最優秀の成績で卒業後、Ircam(フランス国立音響音楽研究所)にて電子音楽を学び、2012年マドリッド・フランスアカデミーの芸術部門会員に選出された。
非常に高度に発達した作曲技術を持ち、極めて個人的に発展したそのスタイルは軽やかさと輝きを帯びるとドイツ音楽界の重鎮であるヘルムート・ラッヘンマンが評する酒井健治の作品は、リヨン国立管弦楽団、ルツェルン交響楽団、ベルギー国立管弦楽団、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、京都市交響楽団、レ・ヴァン・フランセ、アンサンブル・アンテルコンタンポランなどのオーケストラやアンサンブル、またシルヴァン・カンブルランやジョナサン・ノット、ジョナサン・シュトックハマー、ジョン・アクセルロッド、下野竜也、広上淳一、阪哲朗、川瀬賢太郎等の指揮者や、堤剛をはじめとするソリスト達によって欧州各国や日本、北米の著名な音楽祭やコンサートホールで演奏されている。2017年より2020年まで名古屋フィルハーモニー交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンス、また2019年にはオーケストラ・アンサンブル金沢のコンポーザー・オブ・ザ・イヤーを歴任した。
これまで国内外の著名な音楽賞を次々に受賞しており、ジョルジュ・エネスク国際コンクール作曲部門グランプリ(2007)、武満徹作曲賞第一位(2009)、ルツェルン・アートメンターファンデーション賞(2010)、エリザベート王妃国際音楽コンクール作曲部門大賞(2012)、文化庁長官表彰(国際芸術部門)(2012)、芥川作曲賞(2013)、ジョルジュ・ヴィルデンシュタイン賞(2013)等、また2015年ローマフランスアカデミーのフェロー(ローマ賞)に選ばれた。また近年では京都市芸術新人賞(2019)、京都府文化賞奨励賞(2021)なども受賞している。
現在は母校である京都市立芸術大学で教鞭を執っており、京都市立芸術大学現代音楽研究会club MoCoの顧問を務めている。
酒井健治の作品は全音楽譜出版社より出版されている。

入川 舜(ピアノ)


受賞公演:「入川 舜 ピアノリサイタル」2022年12月6日(金)開催
【評価】確固たる技術と、歌心を忍ばせながらも知的コントロールの行き届いた表現。音楽の本質を真摯に探求しようという姿勢は称賛に値する。

入川 舜(ピアノ)

静岡市出身。
東京芸術大学音楽学部ピアノ科卒業、同大学院研究科修了。文化庁海外派遣研修員として、パリ市立地方音楽院とパリ国立高等音楽院修士課程でピアノ伴奏を学ぶ。
高瀬健一郎、寺嶋陸也、辛島輝治、迫昭嘉、A・ジャコブ、J−F・ヌーブルジェの各氏に師事。また、L・アンスネスやM・ベロフらの薫陶を受ける。パリ・シャトレ座やフィルハーモニーはじめ、フランス各地やスイスで演奏するほか、オーケストラとの共演、室内楽、コンクールや講習会での演奏、録音など、活発な活動を行っている。
「静岡の名手たち」オーディションに合格。神戸新聞松方ホール音楽賞、青山音楽賞バロックザール賞を受賞。
日本人作曲家の作品を蘇らせたCD「日本のピアノ・ソナタ選」(MTWD 99045)、また「ゴルトベルク変奏曲」(MTKS-18341)のソロ録音CDがある。
2011年デビューリサイタルを開催。以後も、ドビュッシーのエチュード全曲、バッハのゴルトベルク変奏曲など、意欲的なプログラムでリサイタルを行う。
2021年には東京文化会館にてジェフスキの「不屈の民変奏曲」他によるリサイタル(主催:日本演奏連盟)を開催。
ラヴェルアカデミー(フランス)にて歌曲クラスの伴奏助手。2016年から2017年までパリ市立地方音楽院でピアノ講師と伴奏ピアニストを務めた。
現在、 幅広いジャンルで活動中。オペラシアターこんにゃく座のピアニストを2018年より務める。東京、渋谷の美竹サロンにて、「バッハを辿る」コンサートシリーズを進行中。
東京藝術大学非常勤講師。日本演奏連盟会員。
公式ホームページ:https://shunirikawa.work/



バロックザール賞(1組)


長山恵理子(ヴァイオリン)&ミハーイ・ベレッツ デュオ(ピアノ)


受賞公演:「長山恵理子&ミハーイ・ベレッツ デュオ・リサイタル」 2022年11月26日(土)開催
【評価】二人の目指す繊細で丁寧な音作りは一致し、聴衆に語りかけるような温かさを持つ。最初から最後まで、驚き、感動が心に染み入る名演奏であった。
長山恵理子&ミハーイ・ベレッツ デュオ

長山 恵理子
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て、桐朋学園大学卒業後、渡英。英国王立音楽院にてジェルジ・パウク氏のもとで研鑽を積み、修士課程(Master of Arts)をDistinctionで修了、優れた卒業リサイタルに与えられる DipRAM、the Marjorie Bunty Lempfert Award、the Moir Carnegie Prize 等受賞。
卒業後も自身の ピアノトリオ、トリオ・オパールで音楽院の室内楽フェローとして2年間在籍。
2019年5月よりロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のファーストヴァイオリン奏者としてイギリス国内のみならず、ヨーロッパ諸国や北米、クウェートなど世界各地で演奏。
現在はロンドンを中心にソロ、室内楽、オーケストラ奏者として幅広く活動を続ける。2019年、ノルウェーで行われたトロンドハイム国際室内楽コンクールのピアノ三重奏部門にて第3位、聴衆賞、ならびにコンクール委嘱曲賞 受賞 (トリオ・オパール)。 第9回横浜国際音楽コンクール弦楽器部門大学の部第1位、併せてジャン・シュミット賞受賞。 サントリーホール室内楽アカデミー 第3期フェロー(グランツ弦楽四重奏団)。
これまでに、原田幸一郎、清水涼子、神谷美千子、ジェルジ・パウク、バロックヴァイオリンを 寺神戸亮、 戸田薫、パヴロ・ベズノシウクの各氏に師事。
2016-18年度宗次イエロー・エンジェル基金奨学生。平成29年度 文化庁新進芸術家 海外研修制度研修員。


ミハーイ・べレッツ (Mihály Berecz)
1997年ハンガリーのブダペストに生まれ、6歳でヴァイオリンを学び始める。オーケストラでヴァイオリンを弾くかたわら、3年後よりピアノを学ぶことに専念、Edit Major、Erzsébet Belák各氏の元で研鑽を積む。ロンドンの英国王立音楽院にてクリストファー・エルトンに師事し、学部を首席で卒業。2017年に開催されたデビュー・ベルリン国際コンチェルトコンクールの覇者として、2017年6月にドイツ・ナショナル・オーケストラとベルリン・フィルハーモニーにてデビュー。
これまでに、第2回マンハッタン国際音楽コンクールでの金賞、第15回ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールにおいてリスト=バルトーク賞、また英国王立音楽院にてHarriet Cohen Bach Prizeなど多数受賞。2013年のYoung Euro Classic Festivalにおいてベルリンのコンツェルトハウスにてリストのハンガリー幻想曲を演奏。それに続き2013年、Zoltán Kocsis氏に見出され ベラ・バルトーク国立コンサートホールにてデビュー、ラヴェルの協奏曲ト長調を演奏し、バルトーク・ラジオにて生放送された。昨年秋にはリスト音楽院において、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番『ジュノム』をミハイル・プレトニョフ氏の指揮で演奏。また古楽への興味から、度々オルフェオ・オーケストラなどの著名な古楽器によるオーケストラとのフォルテピアノ協奏曲の演奏に招待される。
ハンガリー芸術アカデミーより奨学金を受け、ハンガリー・ラジオのマーブル・ホールでの2020-2022シーズン計8回のコンサートにてベラ・バルトークの全ソロ作品を演奏した。