特別インタビュー掲載(8/31公演:マルシン・ディラ ギターリサイタル)
2024.08.07国際コンクール19冠に輝く驚異の才能!今月末にバロックザールでのリサイタルを控えた、マルシン・ディラさんにお話しをお伺いしました。
■Q.1 ギターを始めたきっかけを教えてください。
7歳のとき両親に勧めで始めました。二人は私のことをとても音楽的な子だと思っていたようです。いつも歌っていたしね。楽器を弾くのは子どもにとってとても良いことだと思います。もちろん、自分が小さかったときは将来のことなんか考えなかったけれど、10代になって「それほど自分は悪くはないのでは」と気づき、やがてプロへの道が開けていきました。学校で必修科目としてピアノを弾いたことはあるけれど、ギターほどには楽しめなかったですね。
■Q.2 来日は何度目でしょうか?滞在中に楽しみにされていることがあれば教えてください。
今回で5回目になります。日本はいつだって大好きです。毎回とても愉しんでいますよ。日本食は大好きですね。すごく健康的で、しかも美味しい。今回もエンジョイしたいですね。美術館に行ったり、観光をしたりする時間がないのは残念です。
■Q.3 世界各国で演奏会をされておられますが、日本のお客さまとの反応の違いはありますか?
音楽を聴く上で「静かである」というのは一番重要で、根源的なことです。日本の聴衆はとても素晴らしいと私は感じているし、コンサートはいつだってとてもプロフェッショナルに運営されています。
―ギターを学ぶ方たちのためお聞かせください。―
■Q.4 基礎練習は毎日されますか?
基礎練習は行いません。毎日同じことを同じようにやっていても成長はないからです。自分が気に入っていて生徒にもすすめているのは、クリエイティブであリ続けること、練習方法も、そのとき勉強している作品にあわせて変えて(発展させて)いくということです。難しい箇所というのは、それぞれが固有の難しさを持っているので、個別の分析が必要ですね。
■Q.5「メトロノームを使った練習は勧めない」と以前インタビューで拝見したことがあります。なぜでしょうか?
メトロノームは人間的ではなく、リズミックでもなく、音楽的でなく、息づかいもありません。感情を表現する助けになりません。メトロノームは音楽性を殺してしまうものだと信じています。
■Q.6 暗譜のコツを教えてください。
暗譜するには、手先の記憶だけでなく、知的な記憶を使う必要があります。分析、比較、そして楽曲をよく理解する必要があります。手による記憶に重きを置きすぎるのはよくある間違いです。
■Q.7 コンサートの前に緊張するという悩みを持つ人も多いですが、何かアドヴァイスがあれば教えてください。
私は緊張はしませんが、よく集中するように心がけています。でも常に最高の集中力を発揮する方法を正直言って知らないんです、むしろそれが私をナーバスな気持ちにさせますね(笑)。
■Q.8 人々を惹きつける演奏の秘訣はありますか?
自分の演奏はロジカルでありたいと思っています。なので他の音楽家の演奏を聴きながらロジックについて考えるんです。ちょっと変わっているかもしれませんけれど。
■Q.9 近年、新しい才能が次々と誕生し、クラシックギター界に大きな期待が寄せられています。今後どのように発展していくと思われますか?
だれもが人間味の感じられる芸術を好むものだと思うし、興味深い音楽家になるためにはそもそも興味深い人間である必要があるでしょう。そのためには音楽教育だけにとどまらない、もっとずっとたくさんのほかの要素が求められると思います。生きた経験、知識、成熟度、音に対する感受性といったものがとても重要なのではないかという気がします。
■Q.10 プログラムの聴きどころは?
前半はかなり保守的なプログラムになっています。3つの時代から3つの曲を。とても古典的なスタイルの作品ですね。後半は伝説や言い伝えなどからインスピレーションを受けたスペインと南米の音楽をお届けします。
■Q.11 最後にお客さまへのメッセージをお願いします。
今回のツアーではイタリア人の楽器製作家、ガブリエレ・ロディの新しい楽器で演奏します。この楽器はトーレス(※)のスタイルで作られています。この日本ツアーは私にとって今シーズンのハイライトです。皆さんと一緒にリサイタルを楽しみたいと思っています。
(※)アントニオ・デ・トーレス(1817-1892):スペイン出身の偉大な楽器製作家。「ギターのストラディバリウス」と言われる非常に優れた楽器を残した。
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2024年8月31日(土)「マルシン・ディラ ギターリサイタル」公演情報・チケット購入情報は⇒こちら