特別インタビュー(2022年9月17日公演:上原彩子さん)
2022.06.24
2022年9月17日に、バロックザールに初登場されるピアニストの上原彩子さんにお話をお伺いしました。
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—2002 年にチャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で、女性として、また日本人として史上初の優勝は世界中で話題となりました。当時のことをお聞かせください。
上原:コンクールまでは、私はまだ演奏活動をほとんどしていなかったので、コンクール後毎回の舞台がとても新鮮な発見に満ちていて、プレッシャーも感じつつも、とても充実した日々だったのを覚えています。ピアニストは、お客さまに育てていただいているというのを、身をもって感じていました。
—デビューから 20 年を迎えられましたが、これまでの演奏活動の中でどのような変化がありましたか?
上原:今までのところ、ピアノを弾くことは私にとって自然な営みで、その中にある一つ一つのコンサート全てがとても貴重な経験で、その思い出は大切な宝物です。ですから、私にとっての大きな節目は、ピアノを弾くこと以外でのこと、子育てを始めたことと、数年前から教え始めたことが、挙げられるかなと思います。
—今取り組まれているプロジェクトを教えてください。
上原:2月にサントリーホールにて、コンクール以来となるコンチェルト2曲のコンサートをし、それをライヴ録音していただき5月にCDとして発売になりました。また、そこまでにも、20周年に向けてということで、私が小さい頃から親しんできたロシアものと、そこからシンパシーを感じる他の作曲家を繋げてというコンセプトで、チャイコフスキー×モーツァルト、ラフマニノフ×ショパンというプログラムをコロナ禍の2000年からやってきました。
それから、コンチェルト2曲は、3月に新潟でもあり、この後岐阜(8/20可児市)でも演奏する予定です。
—現在、大学で後進育成にも力を入れておられますが、どのような視点で指導されていますか?
上原:ピアノを弾くという行為だけに視点がいってしまうのではなく、弾いている曲や作曲家、その時代にまで興味を持ちながら弾いてもらいたいと思っています。まだ、どれだけ勉強段階であっても、曲に対しての、自分なりの感情、自分なりの考えを必ず持って曲に接してほしいと感じています。
—今回、バロックザール初登場の上原さんの演奏を心待ちにくださっているお客さまに、聴きどころをお聞かせください。
上原:お話をいただいた時、真っ先に思い浮かんだ曲が、チャイコフスキーの四季でした。この曲は、親密な空間で弾いてこそ、皆さんに細やかな表情、ロシアの素朴な空気感が伝わる曲だと思います。飾らない、ロシアのそしてチャイコフスキーの心の移ろいを楽しんでいただければ幸いです。
グランド・ソナタは、その昔タチアナ ニコライエワが100席ぐらいの空間で演奏するのを聞いて大きな衝撃を受けた曲です。決して乱暴ではなく、でもスケールの大きさや深さが伝われば嬉しいです。
—皆さまへのメッセージをお願い致します。
上原:チャイコフスキーの、奥深さ、懐の深さが伝わるコンサートになれば嬉しいです。私はチャイコフスキーを愛していますが、その気持ちが皆さまに伝わりますように。
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2022年9月17日(土)「上原彩子 ピアノ・リサイタル」公演情報・チケット購入情報は⇒こちら