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メッセージが届きました(3/24 開催「山本由美子 ヴィオラリサイタル」)

2023.02.09

山本由美子さんから、今回のリサイタルのためのメッセージと曲目解説が届きました。
ご来場前にぜひご覧ください。

 


「今までの私の人生を振り返って、思い返してみれば、いろんなことを経験してきました。その一つ一つが私にとってかけがえのない貴重なものでした。困難や悲しいことも、また楽しいことも喜びもありました。
真心からそれらに向き合って行った時に、私の音は確実に変わってきました。

これからも、神様からのプレゼントである音楽という芸術の中に真理を見つけることで、ますます自由になっていけたらと願います。
音楽のすばらしさを皆様と共有出来たらとても幸いです。」

山本由美子

                       

カール・ライネッケ:ヴィオラとピアノのための幻想小曲集 作品43
Carl Reinecke:Drei Phantasiestucke, Op. 43 fur Viola und Klavier

ライネッケ(1824-1910)はドイツロマン派の作曲家です。ピアニスト、指揮者としても活躍しました。
私がドイツに留学していた時、毎年クリスマスの時期には広場で大きな市場が開かれ、たくさんの人々が自由に気ままに喜び楽しんでいました。第三楽章の表題、ユーモレスク(自由気まま)という言葉に、私はその情景が今でもなつかしく思い出されます。ライネッケもきっと、生まれ育った土地の情景を思い出しながら、この曲を作曲したのでしょう。



■セルゲイ・プロコフィエフ(ボリゾフスキー編):ロミオとジュリエット組曲
Sergei Prokofiev(arr. Borisovsky):Suite from Romeo and Juliet

プロコフィエフ(1891-1953)が、シェイクスピアによる悲劇「ロミオとジュリエット」に基づいて作曲したバレエ音楽です。今回、ヴィオラで弾くに相応しい五つの曲を取り上げました。
『プロローグ』 ロミオとジュリエットの愛を表した詩情豊かな前奏曲です。全体に通じる三つのテーマが奏でられます。
『街の目覚め』 街の人々の楽しい平穏な日常生活の夜明けを描いています。
『少女ジュリエット』 ジュリエットが十代前半の少女らしく活発に飛び跳ねる、楽しい雰囲気、そして、幼い少女から大人になっていく中での「恋への憧れと不安」を表現しています。
突然、これからの運命を象徴するような、びっくりするようなモチーフが出てきますが、その後また天真爛漫な彼女に戻ります。
『騎士たちの踊り』 威風堂々とした騎士たちと婦人たちの踊りです。プロコフィエフが生きた時代の政治背景が投影されているようにも感じさせます。
『ジュリエットの死』 今までの色々な事をなつかしく思い出しながら、息を引き取っていく様子です。これまでに奏でられた様々なテーマが織り込められ、最後はジュリエットの「恋への憧れと不安」を変容させた息の長いテーマでしめやかに閉じられます。

 

■ハインリヒ・イグナツ・フランツ・フォン・ビーバー:パッサカリア
Heinrich Ignaz Franz von Biber:Passacaglia

ビーバー(1644-1704)は17世紀に作曲家、ヴァイオリニストとして活躍しました。
パッサカリアという曲は、テーマが低音で奏でられ、それが最初から最後まで一貫して続いていきます。同じように私の人生にも変わらないテーマがあります。どのようなことがあっても、永遠に変わらないものが根底にある時、全てのことは益になっていきます。まさにそのような信仰告白の祈りを捧げる曲です。

 

■ヨハネス・ブラームス:ヴィオラソナタ第一番 ヘ短調 作品120-1
Johannes Brahms:Sonate fur Bratche und Klavier Nr.1 f-moll Op.120-1

ブラームス(1833-1897)最晩年の作品です。
かつて私がドイツ留学で住んでいた、デトモルトという小さな美しい街に、その昔、ブラームスも住んでいたことがあり、その当時の年配の方々は、ブラームスを直接知っていました。その街の全ての通りは音楽家の名前がつけられており、音楽をとても愛している街の人々でした。生活の中に音楽の喜びが満ち溢れていて、それが何よりもの素晴らしい体験でした。その感動がこのブラームスの曲に流れていきますように。

 

(プログラムノート 山本由美子)

 

2023年3月24日(金)
2021年度青山音楽賞 青山賞受賞記念演奏会「山本由美子 ヴィオラリサイタル」
公演情報・チケット購入情報は⇒
こちら