特別インタビュー掲載(12/21公演:ベンジャミン・グローヴナー ピアノリサイタル)
2024.10.25ここ数十年間に頭角を現した最も重要なピアニストの一人と謳われ、イギリスのクラシック音楽雑誌“グラモフォン”で「録音史上のトップ・ピアニスト50名」に選出された話題も新しい、英国の若き巨匠 ベンジャミン・グローヴナーさん。12月21日の公演に向けてお話を伺いました。
■ 欧米での目覚ましいご活躍を耳にしています。この一年どのような活動をされていたかお聞かせください。
とても忙しく充実した一年でした。ブゾーニのピアノ協奏曲(作曲家の没後100年記念)を演奏しましたが、スケールの大きさと深さの両面で記念碑的なこの作品に命を吹き込むことができたのは、今年のハイライトの一つでした。ベルリン・フィルハーモニーホールへのデビューとなったベルリン・ドイツ交響楽団(指揮/ロビン・ティチアーティ)、アイスランド交響楽団、そしてロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(指揮/エドワード・ガードナー/BBCプロムス出演)との共演で、特にプロムスでの演奏は12回目でもあり、特別な気持ちでした。
今シーズンは、11月に米国リサイタルツアーに加え、シアトル交響楽団、ユタ交響楽団、そして来年の4月は、NHK交響楽団(指揮/パーヴォ・ヤルヴィ)との共演で、ブリテンのピアノ協奏曲を演奏します。N響は豊かな伝統があり国際的にも非常に注目されているので、デビューが待ち遠しいです。
そして、グラモフォン誌に認められたことは、本当に光栄です。ピアノ録音の歴史を形作ってきた伝説のピアニストたちと肩を並べるのは、責任を感じます。
■関西初のリサイタルに期待が高まっています。プログラムのコンセプトと聴きどころを教えてください。
私はリサイタルのプログラムを、特定のコンセプトやテーマに沿って組んでいます。よく考えられたプログラムは、聴き手にまとまりのある体験を提供します。テーマが、特定の「作曲家」、「歴史的時代」または「感情の旅」に基づいているかどうかにかかわらず、ひとつの演奏会で曲が互いに共鳴し、物語を創り出すことができるのです。
今回演奏する3つの作品は、それぞれ独特な音の世界を描いています。ブラームスの「3つの間奏曲」は、深い内省と叙情的な情感を伝え、ラヴェルの「夜のガスパール」は、技術的な輝きをもって、詩的な情景を生き生きと表現しています。そして、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」は、視覚芸術を鮮やかな音楽物語へと変貌させます。このプログラムは、「親密な感情」と「壮大で想像力豊かな世界」の両方を呼び起こすピアノの可能性を示しています。
■ご来場のお客さまへのメッセージをお願いします。
日本のお客さまの温かさと気配りには、いつも深く感動しています。静かに集中して聴いてくれる様子に、クラシック音楽に対する感謝の気持ちが伝わってきます。「音楽」と「芸術」に対する深い敬意を感じ、それが私にとって毎回の演奏を特別なものにしてくれます。日本で演奏できることを、楽しみにしています。
*******************
2024年12月21日(土)13:00開演
「ベンジャミン・グローヴナー ピアノリサイタル」公演情報・チケット購入情報はこちら